日仏共同研究による新型コロナウィルス感染症対策基金
世界中が新型コロナウイルス(COVID-19)感染症対策に総力を挙げて取り組む中、フランスのパスツール研究所および同研究所の世界中に広がる同研究所国際ネットワークと日本の京都大学は、とりわけCOVID-19やその他のウイルス感染症に対する血清・免疫学的解析の共同研究を、日本人に見られる遺伝や行動の特徴との関連性を踏まえながら進めています。
募集期間と使途
【目標金額】
10,000,000円
【募集期間】
2020年7⽉14⽇〜2020年10⽉31⽇
【基金の使途】
Luminex®プラットフォームを日本での抗体検査に。
パスツール研究所はCOVID-19のほか、インフルエンザや風邪など呼吸器にの類似症状を引き起こす複数のタンパク質(抗原)に対する免疫(抗体)反応をLuminex®プラットフォームを使って一度に検出する方法を開発しました。この測定法は、従来の抗体検査法と比較して感度や特異度が格段によく、またウイルスが変異を起こしても新たな変異に対応する抗原を迅速に合成して測定法に組み込むことが容易なため、すでに感染した人の正確な推定や、将来起こる可能性のある第二波、第三波における感染者の把握などに大きな力を発揮すると考えています。私たちはこの技術をフランスから日本に移転し、COVID-19患者のケアにあたるためにより高い感染リスクにさらされている、京都大学医学部附属病院の医療従事者を対象に最初の調査を実施しようとしています。
本支援においては、パスツール研究所と京都大学の共同研究所に最新機種の検出装置「Luminex MAGPIX Instrument」を導入することを目標とします。この装置によって研究所の診断能力が飛躍的に向上します。
調査対象を医療従事者から一般の人々へ拡大
医療従事者への調査が順調に進めば、調査対象を拡大し、日本におけるウイルスの伝播をよりよく理解するとともに、感染に影響を与える社会的行動の特定に結びつけますることも期待されます。この成果は国および地方の保健当局がよりよい感染制御策を講じる手助けとなるだけに重要です。この研究によってCOVID-19の再出現や新型ウイルスの出現に先手を打つことが可能になる見込みです。
フランスの新聞社のLe Petit Journal社の慈善事業で、1905年に天然痘のワクチンの無料接種が行われたときの風景(Le Petit Journalに掲載されました)です。
パスツール研究所・京都大学医学研究科国際共同研究ユニット
互いの専門性を生かした国際共同研究を通じて世界の健康や公共利益の増進に貢献
パスツール研究所と京都大学医学研究科は、2016年11月に京都大学医学研究科国際共同研究ユニットの設置の協定書を締結しました。この研究ユニットでは、インフルエンザワクチンに対する免疫応答の統合解析、デング熱に関する免疫ゲノム医学研究などを研究テーマにしていますが、その最大の特徴は、京都大学のゲノム医学とパスツール研究所の感染症学という互いの専門性を活かした、相互補完的かつ単独では成し得ない質の高い研究が可能となったことです。
共同研究スペースは、京都大学医学研究科付属ゲノム医学センター(松田文彦 センター長)とパリのパスツール研究所の感染症ゲノム機能研究部門(アナワット・サクンタバイ ユニット長)にそれぞれ置かれ、日仏の研究者が行き来しながら共同研究を進めています。また新たに今年度から、COVID-19の感染や発症・重症化にかかわる遺伝子の探索と、感染者特定のための精度の高い抗体検査法の開発を目的とした共同研究を開始しました。
こういった多様な研究テーマに共同で取り組むことで、両者の協力関係が更に強化され、感染症のゲノム医学研究を中心とした研究交流の深化および国境を越えた世界の健康や公共利益の増進にさらに貢献することが期待されています。
松田文彦
Fumihiko Matsuda, Ph.D.
Professor and Director, Center for Genomic Medicine
京都大学医学研究科附属ゲノム医学センター センター長
疾患ゲノム疫学 教授
アナワット・サクンタバイ
Anavaj Sakuntabhai, M.D., D.Phil.
Head of Functional Genetics of Infectious Diseases Laboratory
パスツール研究所感染症機能遺伝学ユニット長
京都大学医学研究科附属ゲノム医学センターについて
個人のゲノム情報に基づいた病気の遺伝子探索と予防医学の推進
ヒトゲノム配列が決定され、個人のゲノム配列を短期間で安価に読み取ることが可能となった今日、遺伝的素因の解明が困難とされていた生活習慣病や感染症などの疾患と関連する遺伝因子も、全ゲノムを対象として探索することが可能となりました。ヒトゲノムには膨大な量の情報が含まれているため、その解析は従来とは全く異なり、高品質なゲノム情報を得るための実験手法と、膨大な情報量を取り扱う高度なゲノム情報学的アプローチの融合が不可欠となります。当センターでは難病や感染症を解析対象とし、ゲノム配列の決定とゲノム情報学を駆使した解析手法を用いた、次世代の疾患解析モデルの構築を目指した研究を進めています。
大阪市在住の洋画家である福島清氏が、電子顕微鏡で撮影した大腸菌DNAの姿をモチーフとして制作した紙版画(松田文彦所蔵)
松田文彦センター長は、1984年より1998年まで、京都大学の本庶佑教授のもとでヒト抗体H鎖遺伝子座の構造の解明に一貫して取り組み、1998年に100万塩基対という広大な遺伝子座全体のゲノム配列の決定に成功しました。
1998年より2007年までは、パリ郊外のフランス国立ジェノタイピングセンターの部門長として、ゲノム情報を用いたヒトの病気の遺伝子の探索という新しい領域での研究活動をおこない、ヨーロッパ人における肺がんの感受性遺伝子の同定などに成功しました。
2003年4月に京都大学医学研究科教授に就任し、現在に至るまでゲノム医学センター長として、パスツール研究所などフランスの研究機関との国際共同研究によるウィルス感染症や難病の原因遺伝子の探索を精力的に推進しています。また、2011年より難病の遺伝子解析の国の拠点を務め、さらに2017年より、国をあげた新たな難病対策の基盤となる統合レジストリの構築に携わっています。
パスツール研究所感染症ゲノム機能研究部門について
感染症ゲノム機能研究部門では、主要なヒト病原体に対する宿主(すなわち感染者)の遺伝的感受性の基礎を研究しています。 当ユニットでは、熱帯および亜熱帯地域で公衆衛生に大きな負担を強いている2つの感染症、すなわちマラリアとデング熱を研究対象としています。 現在までなされた多くの人類遺伝学的研究は、重症化や死亡に関わる遺伝子の探索に焦点を当ててきましたが、これらの感染症の患者の大部分は軽度または無症状で終わります。そこで、
・病原体がその感染力を最大化するために、いかにうまく宿主を利用しているかのメカニズム
・病原体の宿主内動態に影響を与えて感染後の病気の進展を左右する、環境などの外的因子
の2つの重要な文脈に沿って、遺伝子-遺伝子および遺伝子-環境相互作用の重要性を考慮した感染の制御と伝染性に関与する遺伝子の探索を行い、感染症の進展の根底にある遺伝学的メカニズムの全体像の理解を目指しています。
アナワット・サクンタバイ博士は、英国オックスフォード大学での10年間の臨床医学の経験とヒト分子遺伝学の博士号の取得の後、パスツール研究所で感染症の遺伝的感受性の解明に精力的に取り組んでいます。 感染症のゲノム医学分野ではほとんどの研究者が重症化と関連する遺伝的の探索を行っている中、同博士は遺伝子の機能とより密接に関連する臨床症状を呈さない無症候性感染や軽症者の持つ遺伝的背景の解明に焦点を当てた研究を進めています。最近では、エボラウイルスやジカウイルスを含む最近の新興感染症を研究対象として、宿主の免疫応答の解析を進めています。
パスツール研究所について
パスツール研究所の沿革
1887 年 ルイ・パスツールの狂犬病ワクチンの開発成功により世界各国から集めれらた寄付金により科学、医学、公衆衛生の発展を目的としたパスツール研究所がパリに設立されました。 パスツール研究所はその設立以来、今日に至るまで1世紀以上にわたり、設立者パスツールの遺志を継ぎ、公益目的の民間研究機関として研究・教育・公衆衛生・革新という4つの大きなミッションに基づき、人類の健康に貢献する活動を行っています。
ルイ・パスツールについて
パスツール研究所の設立者であるルイ・パスツールは近代細菌学の開祖とされ、感染症の原因が微生物であることを発見し、また病原体を弱毒化し接種するワクチンを開発し、予防接種の基礎を築きました。また牛乳・ワイン・ビールの腐敗を防ぐ低温殺菌法の開発など、化学・生物学・医学の発展に多くの貢献をしました。
出典:https://zaidan.pasteur.jp/institut/index.htmlフランス大使館キャンペーンのご紹介
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は、7月14日のフランス革命記念日を新型コロナウィルス感染症との闘いに取り組むすべての人々に敬意を表する日とすることを望みました。それを受け、ローラン・ピック駐日フランス大使を中心に在日フランス大使館には、パスツール研究所と京都大学の新型コロナウイルス感染症対策に関する研究を支援する本基金について、7月14日の東京のフランス大使館で行われる式典での研究の紹介と寄付支援のお願い、また、寄付者への特典提供など全面的にご協力をいただいております。
パスツール研究所のCOVID19との戦いを支援する「コロナと戦う芸術家たち」プロジェクトのためにフランス人画家Hervé Di ROSA氏によって制作された「Decorative Dangerous Disease」という名の作品
税法上の優遇措置が適用されます
本プロジェクトへの寄付後、京都大学より送られてくる領収書を控除証明書として確定申告書に添付し所轄税務署へご提出ください。領収書の日付は、寄付申込日ではなく、寄付をされた翌月末の日付となります。
詳細はこちら
お知らせを確認するためにはSecurite Academiaへのログインが必要です。
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2020.12.23
微力ではありますが、今回の寄付が、日仏間にてどなたかのお役に立てれば幸いです。
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2020.09.26
松田先生の研究を応援しています。
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2020.07.18
日仏の共同研究の進展に対する援助になれば幸いです。
応援コメント
- 2020.12.23
- 微力ではありますが、今回の寄付が、日仏間にてどなたかのお役に立てれば幸いです。
- 2020.09.26
- 松田先生の研究を応援しています。
- 2020.07.18
- 日仏の共同研究の進展に対する援助になれば幸いです。
特典
プロジェクトの進捗に関するニュースレター
寄付者皆様には、プロジェクトの進捗に関するニュースレターを初期、中期、最終期にメールにてお届けいたします。
パスツール研究所・京都大学国際共同研究ユニットが開催する一般向けウェビナーへご招待
パスツール研究所・京都大学国際共同研ユニットが開催する、COVID-19を含む感染症に関する一般向けウェビナーへご招待いたします。
※詳細は、10月31日以降にご案内申し上げます。
※ウェビナー:ウェブセミナー
駐日フランス大使からの感謝状
日仏共同研究へのご支援に対して、駐日フランス大使からの感謝状をお届けします。
※感謝状の発送は、10月31日以降になります。
最新装置の記念銘板にお名前の刻印
最新装置の記念銘板にお名前の刻印させていただきます。
※詳細は、10月31日以降にご案内申し上げます。
在日フランス大使館のカクテルパーティご招待/パスツール研究所・京都大学国際共同研究ユニットが開催する国際シンポジウムご招待
10万円以上の寄付をされた方には、在日フランス大使館または在京都フランス総領事館でのカクテルパーティへご招待いたします。加えて、パスツール研究所・京都大学国際共同研究ユニットが開催する国際シンポジウムへのご招待もさせて頂きます。(それぞれ2名様)
※詳細は、10月31日以降にメールにてご案内申し上げます。
署名入りの成果報告書籍の贈呈
50万円以上の寄付者の方には、今回の研究成果をテーマとした英文書籍Socio-life Science: Public Health and COVID-19 Outbreak(仮題)を一冊、日仏の研究代表者の署名入りで贈呈します。
※上記英文書籍は2021年に出版される予定です。
※5万円、10万円の特典も適用されます。
※詳細は、10月31日以降にご案内申し上げます。
全ての特典と医学研究科長からの感謝状
100万円以上の寄付者の方には、本プロジェクトの特典に加えて、「医学部教育研究支援基金」の特別特典が適用されます。
●100万円以上の寄付特典:京都大学医学研究科長の感謝状を送付いたします。
●1000万円以上の寄付特典:寄付者の銘板を作製し、医学部学生会館の横に設置し、お名前を披露いたします。(公表に同意いただいた場合に限ります)
※詳細は、10月31日以降にメールにてご案内申し上げます