現在、種々の疾患に対する「細胞療法」が日々研究されています。例えば、がんに対する治療法は、これまでは放射線・抗がん剤治療が中心でしたが、細胞療法が実現すれば、より少ない合併症の影響でより大きな治療効果が得られる可能性があります。しかし、細胞療法が日常的に使えるようになるまでには、課題がまだまだ山積しています。
どうすれば細胞の機能を最大限に引き出すことができるのか? どうすれば必要な細胞だけをうまく選び出して投与できるのか? はたらく細胞たちの振る舞いを自由に操り、病気や怪我に悩む多くの患者さんによりよい細胞療法を提供できるよう、細胞療法センター(C-RACT)では日々研究を重ねています。
細胞療法の研究テーマは多岐にわたりますが、今もっとも注目していることの一つが、細胞領域におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)です。細胞の培養や分離作業の指示、手順、記録、細胞の状態や保存状況を全て電子化して、作業の質を確保し、研究完了までの時間を短縮することで、1日でも早くはたらく細胞たちを患者さんの手許に届けることを目指しています。
募集期間と使途
【目標金額】
2,000,000円
【募集期間】
2021年4⽉15⽇〜2021年10⽉14⽇
【基金の使途】
新しい細胞療法およびその周辺技術の開発と運用を最適化するためには、多くの人材とともに資金が継続的に必要です。頂いたご寄付は、工程管理システムなどのDX開発作業や細胞療法研究に必須な設備、物品の拡充・維持に使用させて頂きます。細胞療法センターにおける取り組みの趣旨に、ご賛同・ご支援頂きますようお願い申し上げます。
▲機器管理室の様子。細胞療法のさまざまな機器が活躍しています。
細胞療法とは?
「細胞療法」とは、自分自身(自家)の細胞または他人(他家)の細胞を用いてさまざまな病気の治癒を目指す方法です。近年の細胞・遺伝子工学技術などの進歩により、多くの細胞療法が開発されています。投与した細胞がそのまま疾患の治療に繋がるもの(例えば輸血療法)や投与した細胞が別の細胞に形を変えて治療に役立つ細胞療法(例えば骨髄移植など)があります。さらには、体から取り出した細胞を人工的に加工することで、治療効果を発揮させる細胞療法(例えばCAR-T細胞療法やiPS細胞療法など)もあります。細胞療法技術の発展により、細胞のはたらきを自在にコントロールできるようになれば、従来の治療法(薬剤や手術、放射線療法など)では治せなかった疾患に対して、全く新しい側面からの治療ができる可能性があります。
▲新規細胞療法の一つであるCAR-T細胞療法の原理と実際の臨床応用の流れ(Journal of Japanese BiochemicalSociety. 2018;90(4):495-8.より)
▲温度などの状態を常時監視し、品質を担保する方法を日々検討しています。
▲細胞療法に使う製剤の多くは、冷凍で保存されています。品質を保つ手法もC-RACTの研究対象です。
細胞療法領域におけるDX
細胞療法に用いる細胞の採取・加工・保存・入出庫作業には手順が綿密に決められており、わずかな逸脱も認められません。これらの作業においては従来より紙に印刷された手順書を見ながら作業を行ってきたため、手順の確認に非常に時間がかかり、作業者は緊張を強いられてきました。
そこで細胞療法センターでは、この領域におけるDXの一環として、「工程管理システム」の開発に取り組んでいます。手順書の骨子となるプログラムをあらかじめシステムに読み込ませておけば、その時々の状況を踏まえてこのシステムが次のステップを作業者に指示するとともに、その作業内容を即座に記録することができるようになります。
これによって、初めての作業や経験の浅いメンバーであっても、素早くかつ安全に細胞加工作業を行うことが可能になり、全体の研究開発のスピードアップに繋がると考えられます。加えて、蓄積されたデータは今後の作業者教育にも活用することができます。さらには京都大学で開発されたこのシステムは、全国・全世界の細胞調製施設でも利活用可能になり、それによって細胞療法領域全体のレベルアップに繋がることが期待されます。
▲出入庫時ダブルチェックの様子。取り違えを防ぐために、複数人数による指差呼称によるダブルチェックのシステムを採用しています。
このようにして開発される工程管理システムは、既存の電子カルテ、輸血・細胞療法部門システム、さらには我々が開発したCAR-T細胞療法進捗管理システム「かるたす」(CAR-T Administration Scheduler) と接続することで、細胞療法を取り巻く全ての情報が一元的に管理され、本領域におけるDXの完成形に近づきます。
京都大学における細胞療法の実績
京都大学病院では、細胞療法センターが中心となって血液内科や小児科と連携し、さまざまな細胞療法を行ってきました。例えば、輸血療法や造血幹細胞移植、CAR-T細胞療法などが保険診療として行われており、いずれも全国トップクラスの件数を誇っています。多くの患者さんの治療をどのように交通整理するかについては、当院では細胞療法センターを中心に、運用最適化のノウハウを長年培ってきました。また、このような保険診療の安定した運用だけでなく、「新規治療開発」もわれわれ細胞療法センターの大きな任務です。京都大学にはさまざまな研究室があり、多種多様の研究が行われています。その中から、細胞療法に関係する研究のタネ(「シーズ」と呼んでいます)を見つけ出し、患者さんへの治療法として確立させることで、新たな細胞療法の開発を支えています。
これまでには、一型糖尿病に対する「脳死ドナーからの膵島細胞の調製と移植」や重症の血小板減少症の患者さんに対する「iPS細胞由来の血小板作成と輸血」、外傷による神経損傷の患者さんに対する「三次元神経導管作成と移植」に代表される多くのプロジェクトを当センターで行ってきており、その一部はすでに保険診療として承認されています。いずれも従来は良い治療法がなかった疾患ですが、細胞療法がブレイクスルーとなり、新しい治療法として確立しました。これらは、京都大学における研究の英知を結集した、本学ならではの業績です。
京都大学病院細胞療法センターでは、今後も「新規細胞療法の開発」と「運用の最適化」を両輪に細胞療法における世界随一の施設として、はたらく細胞たちとともに医療レベルの向上に邁進してまいります。
▲アフェレーシスを行う病室の様子。白血球を特殊な機器で体外に取り出すことができます。
▲最先端の細胞療法を受けるため、多くの患者さんが全国から京大病院に来られます。ヘリコプターで搬送されて来られることもあります。
研究体制
新井 康之
医師・医学博士
京都大学医学部附属病院 検査部・細胞療法センター 助教
専門分野
造血細胞移植、急性白血病、臨床疫学
経歴
2000年 私立洛星高等学校 卒業
2006年 京都大学医学部 卒業
2006年 北野病院 初期研修医
2008年 倉敷中央病院 血液内科 後期研修医
2015年 京都大学大学院医学研究科
血液・腫瘍内科学 博士課程 修了
2015年 米国国立衛生研究所 博士研究員
2018年 京都大学医学部附属病院 血液内科 医員
2018年 同 輸血細胞治療部 助教
2019年 同 検査部・細胞療法センター 助教
(現職)
城 友泰
医師・医学博士
京都大学医学部附属病院 検査部・細胞療法センター 助教
専門分野
血液内科一般、悪性リンパ腫
経歴
2001年 私立洛星高等学校 卒業
2007年 京都大学医学部 卒業
2007年 大津赤十字病院 初期研修医
2008年 京都大学医学部附属病院 初期研修医
2009年 倉敷中央病院 血液内科 後期研修医
2018年 京都大学大学院医学研究科
血液・腫瘍内科学 博士課程 修了
2018年 京都大学大学院医学研究科 研修員
2019年 同 細胞機能制御学 特定助教
2020年 同 検査部・細胞療法センター 助教
(現職)
管理体制
長尾 美紀
医師・医学博士
京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学 教授
京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部 部長
専門分野
検査診断学、院内感染対策、薬剤耐性菌の分子疫学
経歴
1999年 名古屋大学医学部 卒業
2006年 名古屋大学大学院医学系研究科 呼吸器内科 博士課程 修了
2006年 京都大学医学部附属病院 検査部・感染制御部 医員
2009年 京都大学大学院医学研究科 臨床病態検査学 助教
2011年 同 講師
2015年 同 准教授
2019年 同 教授(現職)
【研究予定期間】 3か月間~1年間
【研究場所】 京都大学医学部附属病院 細胞療法センター
【研究体制】 京都大学医学部附属病院 血液内科・小児科・肝胆膵移植外科・整形外科・産婦人科
研究メンバー:
髙折晃史(副病院長・血液内科診療科長・血液腫瘍内科学教授・細胞療法センター長)
滝田順子(小児科診療科長・こども医療センター副センター長・発達小児科学教授・細胞療法センター副センター長)
万木紀美子(主任臨床検査技師)・菱田理恵・丹羽紀実・濱野京子・岩本美紀・松井恵子・松尾詩織・中川陽子・椛梓・福井成美・酒巻祐理・藤井克俊
税法上の優遇措置が適用されます
本プロジェクトへのご寄付後、京都大学よりお送りする領収書を控除証明書として確定申告書に添付し、所轄税務署へご提出ください。
領収書の日付は、寄付申込日ではなく、寄付をされた翌月末の日付となります。
詳細はこちら
お知らせを確認するためにはSecurite Academiaへのログインが必要です。
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2021.09.20
新潟県
僅かですが寄附しますので、御活用ください。
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2021.08.06
京都府
昼夜を問わず新規細胞療法開発に没頭されている先生方の少しでもお力になれますと幸いです。
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2021.07.15
新潟県
某国立医技短OBです。指導教授の専門は免疫学でした。
良い成果を得られますよう、願っています。頑張ってください。
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2021.07.14
東京都
研究の成果を楽しみにしております。
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2021.07.13
東京都
期待を込めて、応援させていただきます。
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2021.07.13
埼玉県
皆様の研究の成果に期待してます
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2021.07.13
岩手県
安く、安全に自分の免疫力を強化して、治癒延命し、再人生を歩める治療法の世界のフロントランナーとなるよう期待します。
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2021.07.13
東京都
細やかながら、研究の支援をさせていただきます。今後の日本の医療のためお役立てください。
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2021.07.13
京都府
細胞培養と遺伝子実験に過去に働いていた病院で参加していました。これからの医療に研究が役立ち、患者さんのため、人のためになるよう、プロジェクトチームの皆様に期待しています。応援していますので、頑張って下さい。
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2021.07.07
奈良県
未来に向かって、より良い治療が出来るように、応援しています。
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2021.06.18
愛知県
がんばってください。
研究ものすごく期待してます!
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2021.06.12
青森県
細胞療法が今病気で苦しんでいる人の希望に、また、実際の治療に少しでも役立てられればいいですね。
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2021.06.10
岡山県
コロナで大変な世の中ですが少しの寄付がお役に立ちますように。
細胞医療の更なる発展に期待してます。
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2021.06.04
京都府
細胞療法の発展に少しでもお役立ちいただけましたら幸いです。
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2021.06.04
京都府
大変ささやかではございますが、
お役立て頂ければ幸いです。
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2021.06.01
大阪府
頑張ってください!
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2021.05.31
千葉県
画期的な研究の成果を期待しています。これから幾多の困難が待ち受けていると思われますが、腐らず諦めず粘り強く立ち向かってください。
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2021.05.29
神奈川県
医療の進歩を期待しております。みなさまに本当に感謝いたします。
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2021.05.28
埼玉県
期待してます。コロナに打ち勝って下さい。応援しています。
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2021.05.27
茨城県
父がリンパ腫になりましたが、化学療法で劇的に改善しました。医療の進歩を地道な努力で支える研究者の皆様に感謝します。
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2021.05.26
奈良県
わたしには、このくらいのことしかできませんが、がんばってください。
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2021.05.26
神奈川県
父を肝臓がんで亡くし、自分も緑内障と心筋梗塞を患っています。細胞療法に期待して、微力ですが応援します。
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2021.05.26
東京都
未来のために、応援します
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2021.05.25
東京都
些少ですが寄付をさせて頂きます。日本の為、世界で困窮している人々の為に頑張って下さい。
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2021.05.25
静岡県
応援させていただきます。
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2021.05.25
京都府
大変ささやかですが、お役に立てれば嬉しいです
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2021.05.25
千葉県
寄付できることはささやかですが気持ちでは精いっぱい、皆様を応援しています。
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2021.05.25
埼玉県
がんばってください!
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2021.05.19
大阪府
新井さん、頑張ってください!!
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2021.04.29
大阪府
新井康之先生の御研究がうまくいくことを祈願しております。
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2021.04.27
大阪府
ほんの気持ちだけです。頑張って下さい。
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2021.04.27
千葉県
少額ですが寄付させて頂きます。頑張って下さい。
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2021.04.17
神奈川県
少額ですが応援します。
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2021.04.16
愛知県
ささやかですが応援させていただきます。
応援コメント
- 2021.09.20 新潟県
- 僅かですが寄附しますので、御活用ください。
- 2021.08.06 京都府
- 昼夜を問わず新規細胞療法開発に没頭されている先生方の少しでもお力になれますと幸いです。
- 2021.07.15 新潟県
- 某国立医技短OBです。指導教授の専門は免疫学でした。 良い成果を得られますよう、願っています。頑張ってください。
特典
御礼状
千円単位でのご寄付は、こちらからお申し込みください。京都大学医学部教育研究支援基金より寄付金領収書と御礼状をお送りいたします。
※寄付金領収書は、寄付をされた翌月末付で発行されます。
御礼状
1万円以上のご寄付をされた方には、当センターから御礼のお手紙をお送りいたします。
※寄付金領収書は、寄付をされた翌月末付で発行されます。
御礼状&成果報告書
5万円以上のご寄付をされた方には、当センターから御礼のお手紙と年間の成果報告書をお送りいたします。
※2021年12月中に郵送させて頂く予定です。
※寄付金領収書は、寄付をされた翌月末付で発行されます。
御礼状&成果報告書&芳名台帳への記載
10万円以上のご寄付をされた方には、当センターから御礼のお手紙と年間の成果報告書をお送りするとともに、ご許可を頂いた場合には報告書にお名前を掲載させて頂きます。
※御礼状と成果報告書は、2021年12月中に郵送させて頂く予定です。
※寄付金領収書は、寄付をされた翌月末付で発行されます。
御礼状&成果報告書&芳名台帳への記載&最新装置の記念銘板にお名前の刻印
20万円以上のご寄付をされた方には、当センターから御礼のお手紙と年間の成果報告書をお送りするとともに、ご許可を頂いた場合には報告書にお名前を掲載させて頂きます。さらに、当寄付金を用いて導入する予定の解析機器の記念銘板にお名前を刻印させていただきます。
※御礼状と成果報告書は、2021年12月中に郵送させて頂く予定です。
※お名前の刻印についての詳細は、2021年10月以降にご案内申し上げます。
※寄付金領収書は、寄付をされた翌月末付で発行されます。