本プロジェクトでは、東京大学の複数の研究室が合同で研究を進めている「スーパー酵母創出プロジェクト」を推進するための寄付を募集します。ディープラーニングなどの人工知能(AI)を用いて特殊な形態を持つ酵母を選抜し培養するAI指向性進化法を開発し、超効率的に酵母の品種改良を行うことにより、食味が非常に良いパン、味噌、醤油、ビール、ワイン、清酒などの発酵食品や未知なお酒をもたらすスーパー酵母の創出を目指します。本プロジェクトではスーパー発酵食品に向けたスーパー酵母の創出がテーマですが、AI指向性進化法は酵母を用いたインシュリンなどの医薬品生産やバイオエタノールなどのバイオ燃料生産にも展開することが可能です。
また、本プロジェクトを開始した2019年11月14日の直後から新型コロナウイルス感染症による活動自粛要請がたびたびあり、我々大学の研究室も大きな影響を受けた2年間でした。社会全体に対する影響も非常に大きく、特に飲食業界、さらにその中でも酒類業界への影響は極めて大きなものでした。このような状況下において本プロジェクトは、プロジェクト開始時に抱いていた「挑戦的だが楽しい研究がしたい」という目標から(今もそれは変わりなく根底にありますが)、多くの被害を被った飲食業界の立て直しの一助となるという社会的意義を持ち合わせるプロジェクトになってきていると考えています。
このような目標に到達すべく、2022年9月から1年間募集期間を延長させていただき、本プロジェクトの集大成となる結果を得るべく研究に邁進したいと思っております。
募集期間と使途
【目標金額】
20,200,000円
【募集期間】
第1期:2019年11月14日~2020年3月31日
第2期:2020年4月1日~2022年8月31日
第3期:2022年9月1日~2023年8月31日
※研究継続のため、2022年9月から1年間募集期間を延長させていただきます。
※延長に伴いプロジェクト名を「スーパー酵母2020」から「スーパー酵母2024」に変更いたしました。
【基金の使途】
皆様からの寄付金は、研究費(AI細胞選抜装置改造費、AI細胞選抜装置維持費、細胞培養環境維持費、細胞培養消耗品費、細胞解析費、人件費など)として使わせていただきます。最先端装置の設置場所の確保と維持費だけで年間940万円必要です。本研究は4年間継続させる必要があります。少なくとも2年半は継続し成果を社会に還元したいと考えております。2023年8月までに2000万円達成を目指しております。皆様、応援のほど、よろしくお願いいたします。
挑戦的な研究、広く社会からのご支援で
従来の研究予算では、様々な制約や膨大な事務作業および短期的成果の要求などにより、研究者の自由な発想にもとづくボトムアップ研究が困難となってきました。その結果、長期的な視野に立った挑戦的な研究を行う環境が失われてきました。本プロジェクトでは、広く社会からのご支援で、従来の研究予算では実施が難しい挑戦的な研究テーマに東京大学の複数の研究室から成る最高のチームで取り組みます。研究成果は社会に還元したいと思っています。是非ともご参加ください。
東京大学大学院理学系研究科化学専攻・教授 合田圭介
スーパー酵母とは
「発酵の母」と呼ばれる酵母は菌類に属する微生物として、パン、味噌、醤油、ビール、ワイン、清酒などの発酵食品を作る際に用いられており、人類にとって最も馴染みの深い産業微生物の一つです。酵母はブドウ糖を食べてアルコールを作ります。酵母の形態は様々であり、発酵食品を作る際には異なった形態(大きさや形など)の酵母を用います。発酵に使用する酵母の生理状態を、酵母の形態から発酵前に判定して、その後の発酵への影響を予測することが出来ます。酵母の形態と発酵・醸造の関係性に関する研究を30年以上行ってきた酵母専門家である東京大学大学院新領域創成科学研究科の大矢禎一教授は、2019年に清酒酵母においてゲノム編集と並んで形態解析が育種に重要であることを発見しました。スーパー酵母とは、AI指向性進化法を用いて超効率的に品種改良・育成することで得られる形態が特徴的で、特定の発酵食品を生産するのに突出した能力を持つ酵母の変異体です。例えば、スーパー酵母を用いることで非常に食味が良いパン、味噌、醤油、ビール、ワイン、清酒、さらに未知のお酒を作ることができるようになると期待されます。また、発酵食品の生産効率を劇的に向上させることで、世界の食糧問題を解決することができると期待されます。
スーパー酵母を創出するAI指向性進化法
東京大学大学院理学系研究科の合田圭介教授らは、2018年に開発に成功し、Cell誌で発表した革新的なAI細胞選抜装置を用いて、2018年にノーベル化学賞を受賞した指向性進化法(自然界の生物の進化の仕組みである自然淘汰を人工的に作り出すことで、特定の生体分子の機能を目的に応じて向上させていく実験的手法)を実施することで、特殊な形態を持つ酵母を超効率的に選抜・培養するAI指向性進化法を確立します。そうすることで、食味が非常に良いパン、味噌、醤油、ビール、ワイン、清酒などの発酵食品をもたらすスーパー酵母の創出を実現することが可能となります。酵母専門家である大矢禎一教授は、これまで多種多様な酵母の細胞集団の中から特定の形態を持つ変異体を顕微鏡下で一つ一つ観察・分析していましたが、これは非常に時間と手間のかかる地道で非効率な作業でした。AI細胞選抜装置は、人間の労力と経験に頼らずに、その作業の精度とスピードを驚異的(1000倍以上)に向上させることができる最先端技術です。この技術により、膨大な数の細胞集団から形態学的に特殊な細胞を迅速・正確に発見することが可能になります。優れた能力を持つ細胞を効率的に選抜することができ、これまでの手作業では半年かかる作業を半日で終えることも可能となりました。
日本経済新聞 2019年1月16日「NextTech2030:ノーベル賞級発見を効率的に、狙う細胞を自動選別」
記事を読む
今後の展開
2020年度~2021年度にかけて、合田教授が東京大学大学院理学系研究科の上村想太郎教授と協力してAI指向性進化法を開発し、それを用いて2021年度~2022年度にかけて合田教授と大矢教授が酵母の形態情報にもとづくAI指向性進化を実施します。2022年度にスーパー酵母の発見と遺伝子機能解析を行います。2023年度には、創出したスーパー酵母株を用いてスーパー酒の開発を計画しています。将来的にはベンチャー企業を立ち上げることで大きな事業を生み出す計画も立てています。様々な食味豊かな食品の誕生と、大手食品企業などとの連携が見込めるため経済的に非常に大きな成果が期待できるものです。本プロジェクトではスーパー発酵食品に向けたスーパー酵母の創出がテーマですが、AI指向性進化法は酵母を用いたインシュリンなどの医薬品生産やバイオエタノールなどのバイオ燃料生産にも展開することが可能であり、将来的には挑戦したいと考えています。
研究チームについて
本プロジェクトを実施する研究チームは、合田教授、大矢教授、上村教授がそれぞれ率いる東京大学大学院理学系研究科化学専攻の合田研究室、東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻の大矢研究室、東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻の上村研究室のメンバー(助教、博士研究員、大学院生、学部生など)によって構成されています。本プロジェクトを通じて学生や若手研究者に挑戦的な研究を体験してもらうことにより、将来的にグローバルに活躍する研究者を育成するという教育的な意義もあります。
合田圭介
東京大学大学院理学系研究科化学専攻・教授
カリフォルニア大学バークレー校理学部物理学科卒(首席)。マサチューセッツ工科大学大学院理学部物理学科博士課程修了(理学博士)。2012年より現職。カリフォルニア大学ロサンゼルス校工学部生体工学科と武漢大学工業科学研究院の非常勤教授。専門は光量子科学、物理化学、バイオイメージング。市村学術賞、日本学術振興会賞、日本学士院奨励賞、読売ゴールドメダルなどを受賞。
大矢禎一
東京大学大学院新領域創成科学研究科先端生命科学専攻・教授
東京大学出身(理学博士)。分子細胞生物学、特に真核単細胞生物である出芽酵母を対象とした分子生物学・分子遺伝学を主な研究領域とし、細胞の形態形成、細胞増殖、細胞内情報伝達に関する研究を実施中。ノーベル生理学・医学賞を受賞した大隅良典栄誉教授の弟子。30年間以上出芽酵母を研究。
上村想太郎
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻・教授
早稲田大学理工学部応用物理学科卒。同大学大学院生命理工学研究科博士課程修了(理学博士)。理化学研究所を経て、2014年より現職。専門は1分子生物学、1細胞生物学。文部科学大臣表彰若手科学者、井上研究奨励賞などを受賞。
お問い合わせ先
東京大学基金事務局
〒113-8654 東京都文京区本郷 7-3-1
Tel:03-5841-1217(9:00~12:00、13:00~17:00 土日祝除く)
Fax:03-5841-1219
お問い合わせフォーム https://payment.utf.u-tokyo.ac.jp/tokyo/askEntry.php
税法上の優遇措置が適用されます
本プロジェクトへの寄付後、東京大学基金より送られてくる領収書を控除証明書として確定申告書に添付し、所轄税務署へご提出ください。
詳細はこちら
- 領収書の日付は、寄付申込日ではなく、寄付をされた翌月末の日付となります。
お知らせを確認するためにはSecurite Academiaへのログインが必要です。
-
2022.10.31
神奈川県
2022/10/29(土)第1回研究室見学と特別講義にご招待いただきありがとうございました。酵母10μmの大きさを1000個/秒で良否の選別装置、すでに普通なら数年かかる結果が、本研究は数日で結果が出ている。複数の東大の技術を結集した素晴らしい研究であることが理解できました。講義前にキャンパス内の学食での食事・コーヒー・ケーキを食べ、安田講堂付近を散歩し、アカデミックな雰囲気を楽しんで、特別講義に出席しました。講義後、気分爽快で帰路につきました。ど素人の質問にもお答えいただきました。年金生活ですので少ないですが、再度寄付します。お礼です。
-
2022.04.27
北海道
スーパー酵母が地球と人類の救世主になることを願って、少ないですが寄付します。夢に向かって頑張ってください。
-
2022.01.20
神奈川県
技術立国日本の復活の起爆剤に。また企業化をめざして頑張ってください。微力ながら投資も考えます。しかしただで研究成果をかすめていく国があります。ご用心ください。
-
2021.12.23
東京都
企画内容に興味がありました。
頑張ってください。
-
2021.12.21
愛知県
スーパー酵母の発見にとても興味があります。2022年度に向けての研究に期待して応援します!
-
2021.06.18
愛知県
スーパー酵母食品楽しみにしてます。
-
2021.02.28
ささやかですが、1年ごとに寄付させていただきます。
-
2020.11.20
スーパー酵母をつかった新たな酵母食品が誕生することを楽しみにしています!
応援コメント
- 2022.10.31 神奈川県
- 2022/10/29(土)第1回研究室見学と特別講義にご招待いただきありがとうございました。酵母10μmの大きさを1000個/秒で良否の選別装置、すでに普通なら数年かかる結果が、本研究は数日で結果が出ている。複数の東大の技術を結集した素晴らしい研究であることが理解できました。講義前にキャンパス内の学食での食事・コーヒー・ケーキを食べ、安田講堂付近を散歩し、アカデミックな雰囲気を楽しんで、特別講義に出席しました。講義後、気分爽快で帰路につきました。ど素人の質問にもお答えいただきました。年金生活ですので少ないですが、再度寄付します。お礼です。
- 2022.04.27 北海道
- スーパー酵母が地球と人類の救世主になることを願って、少ないですが寄付します。夢に向かって頑張ってください。
- 2022.01.20 神奈川県
- 技術立国日本の復活の起爆剤に。また企業化をめざして頑張ってください。微力ながら投資も考えます。しかしただで研究成果をかすめていく国があります。ご用心ください。
特典
研究報告レポート
メールにて研究報告レポート(PDF版)を送付させて頂きます。
●報告レポートは1回です。
●2021年12月現在で1度特典を実施させていただきました。次回は2022年12月ごろを予定しています。
学会発表謝辞
学会発表資料の謝辞にお名前を掲載させて頂きます。
●学会発表資料への謝辞は1回です。
●2022年11月現在で6度特典を実施いたしました。順調に研究成果も挙がっているので今後学会発表の機会も増え、当特典の機会も増える予定です。
論文発表謝辞
論文発表の謝辞にお名前を掲載せて頂きます。
●論文発表資料への謝辞は1回です。
●2022年11月現在で3本の特典対象論文を発表いたしました。順調に研究成果も挙がっているので今後論文発表の機会も増え、当特典の機会も増える予定です。
研究室見学と特別講座
東京大学合田研究室の研究室見学と特別講座にご招待いたします。
●5万円のご寄付につき1名様をご招待します。
●2022年10月に第一回研究室見学と特別講座を開催させていただきました。2023年夏以降に第二回を開催できればと思っています。
子供向けサマースクール
寄付者のお子様(小学生~高校生)向けに参加型実験教室を開催いたします。
●10万円のご寄付につき、お子様2名様同伴者1名様をご招待します。
●コロナ対策として延期させていただいております。コロナ禍が落ち着き次第実施予定です。
スーパー酒の試飲
本プロジェクトで生まれたスーパー酵母と酒造メーカーとのタイアップによるお酒の試飲会にご招待いたします。
●試飲会に参加して頂けるのは20歳以上に限ります。
●20万円のご寄付につき成人2名様をご招待します。
●スーパー酒が完成し次第実施予定です。
スーパー酵母株の命名
スーパー酵母株への命名をお願いします。
●一部に自分の名前を入れるなど、一定のルールを設けさせて頂きます。
●命名の時期は、スーパー株が完成し次第実施予定です。