コロナ後遺症の免疫学的解析による原因究明

免疫の「乱れ」が長期化するコロナ後遺症とどう関与するのかを明らかに
京都大学大学院医学研究科 免疫細胞生物学講座
現在 3%
集まっている金額
¥390,346
参加人数
19人
募集終了まで
62日

長期化するコロナ後遺症はなぜ起こる?

何よりも、免疫の乱れが長期化するコロナ後遺症とどう関与するのかを明らかにすることが、新たな治療法の開発に大切

新型コロナ感染症では、感染後1か月以上経過しても全身のだるさ、嗅覚・味覚の異常、集中力低下、体の痛みなどが長期に渡って継続する、いわゆるコロナ後遺症を生じることが知られています。不思議なことに、コロナ後遺症は感染時に入院が必要となるような重症であった患者だけでなく、急性期には症状がなかったり、軽症であった患者にも多く起こります。ですので、コロナ後遺症は単に急性期の症状がだらだらと長期に渡り続いている状態というのではなく、むしろ感染によって引き起こされた原因不明の疾患としての側面が強いと考えられます。

しかし世界的にも後遺症の原因はまだ明らかにされていません。私たちのような免疫学者は、免疫応答の乱れが後遺症の本態ではないかと考えています。実際にヨーロッパの研究では、コロナ後遺症の患者さんにコロナワクチンを打つことで症状が軽快した、という報告もあります。しかし、日本に住むコロナ後遺症の患者さんのデータを使った私たちの研究では、ワクチン接種で劇的に症状が改善したということはありませんでした。ですので、残念ながらコロナワクチンはコロナ後遺症の治療に良いとは言えません。

私たちの研究室では、この数年にわたってコロナ後遺症の患者さんの血液の中の免疫細胞が、新型コロナに対してどのように反応するか、詳細な解析を行ってきました。このプロジェクトでは、コロナ後遺症に苦しむ方がどのような免疫の乱れがあるのかを明らかにしたいと考えています。

コロナ後遺症に苦しむ方の中には、コロナワクチンを何回も受けたのに感染した方や、あるいは何度もコロナウイルスに感染した方もおられるでしょう。コロナ後遺症はまだ原因不明の病気です。治療法を見つけるためには、何よりも、何が病気と関連しているのかを明らかにすることが非常に大切です。コロナ後遺症の原因となる免疫の乱れのパターンが明らかになれば、新たなコロナ後遺症の治療法の開発につながるのではないかと期待しています。

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ヒトのリンパ組織の中にいるいろいろな免疫細胞

募集期間と使途

【目標金額】
10,000,000円

【募集期間】
2023年12月14日〜2024年 6月30日

【基金の使途】
本プロジェクトでは、コロナ後遺症患者さんの血液の中にいる、新型コロナに反応する免疫細胞を詳細に解析します。プロジェクトを進めるために、以下のテーマにいただいた資金を使用します。
1.東京渋谷、ヒラハタクリニックで採取したコロナ後遺症の患者さんの血液サンプルを京都大学に輸送するための輸送費。
2.細胞のフローサイトメトリー解析に必要な蛍光色素付き抗体の購入
3.細胞のシングルセル遺伝子解析に必要なキットの購入

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コロナ後遺症の患者さんの血液一つずつから免疫細胞を抽出し、新型コロナに反応する免疫細胞を見つけ出します。

 

コロナ後遺症って?

免疫が関与すると考えられていますが、どう関与するのか、よくわかっていません。
新型コロナ感染症は、いまだに多くの感染者を国内で出し続けています。最近では、ワクチン接種や新型コロナに感染することによって、多くの方がすでに新型コロナに対する免疫を持ち、入院される方や亡くなる方が以前より減っています。しかし一方で、感染後1か月以上経過しても全身のだるさ、嗅覚・味覚の異常、集中力低下、体の痛みなどが長期に渡り継続する、いわゆるコロナ後遺症を生じることが知られています。

世界の報告では何らかの後遺症を持つ方の割合は感染者の約30~70%にも至るとされています。不思議なことに、後遺症は感染時に入院が必要となるような重症であった患者だけでなく、急性期には症状がなかったり、軽症であった患者にも多く起こります。なので、コロナ後遺症は新型コロナ感染によって引き起こされた、原因不明の疾患と考えられます。しかし世界的にも後遺症の原因はまだ明らかにされていません。
 
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血液検体で何をするの?

新型コロナに反応する免疫細胞を解析

本プロジェクトでは、コロナ後遺症で苦しんでおられる方から血液を採取して、免疫細胞を分離します。私たちはこの中に含まれる新型コロナに反応する免疫細胞を、世界最先端の方法を用いて詳細に解析します。新型コロナに反応する免疫細胞は実はかなり多種多様です。研究室で確立した特殊な方法を使うと、この多彩な細胞を1細胞ずつ解析することができるのです。ですので、コロナ後遺症のどの患者さんが、新型コロナに反応する細胞がいくつあって、どのようなタイプで構成されているのか、非常に詳細にわかるのです。この解析をコロナ後遺症患者さん毎に行います。

このような解析をすることで、どのようなコロナ後遺症の症状を持った方で、どのタイプの免疫細胞が極端に増えてるのか、あるいは減っているのかを明らかにすることができるのです。もしかすると、コロナ後遺症で苦しむ方だけにしか存在しないような細胞も見つかるかもしれません。新型コロナに反応する免疫細胞の乱れがどうコロナ後遺症の症状とつながるのか、それを一つずつ明らかしたいと考えます。これは、後遺症の症状に応じた治療法を確立するための、大切な一歩なのです。

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研究室では、日々世界最先端の方法を用いて詳細に血液中の免疫細胞を解析します。

研究室でどんな研究をしているの?

男女や年齢によるメカニズムの違いが明らかに

代表研究者の上野は健常人や病気の方からの検体(血液や組織など)を使って免疫を研究する、ヒト免疫学者です。研究室では、新型コロナに対する免疫応答の詳細な解析を数年にわたって行ってきました。現在までに、新型コロナ感染によって起こる免疫応答には大きな男女による差、年齢による違いがあることを見出しています。この違いは、新型コロナで高齢の男性が重症化しやすかったことと関連していると考えています。

最近では、コロナ後遺症の原因が男女で大きく異なるのではないか、という結果を見出しました。私たちは、新型コロナに対する男女での免疫応答の違いが、コロナ後遺症の原因の違いに大きく関与しているのではないかと考えています。

さらに、オミクロン株感染後のコロナ後遺症と従来株のコロナ後遺症では、免疫応答が大きく違うことも見つけました。ウイルス自体が変異したことと、ワクチン接種によって免疫応答のパターンが大きく変わったことが関係しているのではないかと考えています。

研究室では、これら研究成果の一部を、テレビや新聞での報道を通じて、かなり早い研究段階から世間に公表してきました。これは、コロナ後遺症という原因不明の難病に対して、一刻でも後遺症に苦しむ患者に研究内容を伝えることで希望を持って頂ければ、と考えているからです。

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京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学 上野研究室

研究体制

代表研究者

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上野 英樹

京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学
ヒト免疫研究
京都大学 大学院医学研究科 免疫細胞生物学 教授
京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 副拠点長
京都大学 免疫モニタリングセンターKIC センター長

1992年          京都大学医学部 医学科 卒業
2001年         京都大学大学院 医学研究科 医学博士取得
2001年 9月    米国、テキサス州ダラス、Baylor Institute for Immunology Research (ベイラー免疫研究所)  ポストドクトラルフェロー
2003年  9月        同上 高級ポストドクトラルフェロー (昇任)
2004年  6月        同上 Assistant Investigator (助教相当)  (昇任)
2004年  6月        同上 免疫モニタリングコア Directorを兼任 (2016年3月末まで)
2009年  6月        同上 Associate Investigator (准教授相当)  (昇任)
2011年  6月        同上 Full Investigator (教授相当)  (昇任)
2016年  4月    米国、ニューヨーク州ニューヨーク、Icahn School of Medicine at Mount Sinai(マウントサイナイ医科大学)Department of Microbiology 教授 兼  Global Health and Emerging Pathogens Institute 教授
2019年 7月        京都大学医学部医学科 免疫生物学 教授着任 (クロスアポイントメント)
2021年 4月        クロスアポイントメント終了
            京都大学医学部医学科 免疫生物学 教授 専任
2022年  9月        京都大学免疫モニタリングセンターKICセンター長 着任
2023年  4月        京都大学 高等研究院 ヒト生物学高等研究拠点 ASHBi副拠点長 着任

ヒト免疫研究歴は大学院時代を含め25年。ベイラー免疫研究所では樹状細胞によるがんワクチン開発研究とがん抗原特異的免疫モニタリングの他、ヒト樹状細胞サブセット、ヒト濾胞性ヘルパーT(Tfh)細胞の基礎的、臨床的研究を行った。主な成果に、ヒト皮膚樹状細胞サブセットの機能の違いの解明、ヒトTfh細胞のサブセットの発見、Tfh細胞サブセットの自己免疫疾患への関与の解明、ヒトTfh細胞の分化経路の解明、ヒトインフルエンザワクチン後のTfh細胞の抗体産生への関与の解明、など。京都大学へは20年ぶりに帰り、改めて京都大学のすばらしさ、学生の優秀さ、京都の街の美しさを実感。70-80年代オーディオを含め、昭和なものが好き。

研究メンバー

橋口 隆生

京都大学医生物学研究所ウイルス制御分野 教授

Naila Shinwari

京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学 特定研究員

薛 馨欣

京都大学大学院医学研究科免疫細胞生物学 大学院生(博士課程)

税法上の優遇措置が適用されます

本プロジェクトは、京都大学寄附金取扱規程に則り、京都大学へのご寄付として取り扱われます。本プロジェクトへの寄付後、京都大学より送られてくる領収書を控除証明書として確定申告書に添付し、所轄税務署へご提出ください。領収書の日付は、寄付申込日ではなく、寄付をされた翌月末の日付となります。
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2024.03.08 神奈川県 職業柄、後遺症に悩まされている方に会う機会が多く、初めはどう対応して良いのかわからない中、平畑先生の活動を知りそこで得た知識を大変活用させていただいています。その平畑先生も関わるプロジェクトということでぜひ応援させていただきたいと思いました。 後遺症の機序がわかれば治療への期待も大きくなります。世界中の多くの人々に希望をもたらすであろう研究です。応援しています。
2024.02.28 北海道 よろしくお願いします。
2023.12.27 大阪府 夫は2020年コビット19にかかり、気管支切開手前まで悪化し約2ケ月入院となりました。その後2023年にまた軽度のコビット19にかかりました。私も2020年同時期に罹患し、38度程度の熱と味覚異常。2週間程度でなんとか自力で回復しましたが、その後2回ワクチンを接種したにもかかわらず、2023年夫と同時期に発症し、軽度でしたが夫より多少症状が重かった気がします。現在もそうですが、コビット19の後遺症と思われる、突発的な腹痛や便意、味覚の異常などの症状は続いています。多少の不便はあるものの日常生活は営めますが、もっと深刻な症状で苦しんでいる方も多いと聞きます。せめて症状の軽減が叶いますよう、研究の成果に期待しています。
2023.12.25 東京都 私、妻ともにコロナ後遺症で苦しんでおり、まともに働けなくなり、所得は減少し、大きく私生活に影響が出ています。一刻も早くメカニズムを解明し、治療の道筋をつけていただくことが、後遺症患者を助かることになると思います。 研究頑張ってください。心より応援しております。
2023.12.21 京都府 御研究が一歩でも前進しますよう願っています
2023.12.17 東京都 私もコロナの後遺症(味覚障害)で悩んでおりました。 そういうこともありまして、微力ではありますがお力添えをさせていただきます。
2023.12.17 埼玉県 苦しんでいる多くの方々のために頑張ってください。
2023.12.16 岩手県 成果が出ることを祈念しております。
2023.12.16 愛知県 このような喫緊の課題には、とうの昔に潤沢な研究費がつぎこまれていると思い込んでました。
2023.12.16 青森県 コロナの後遺症で苦しんでいる人は多いようですのでこの研究が進んで効果的な治療法が早く見つかってほしいです。
2023.12.15 東京都 この度はコロナ後遺症の原因究明をご表明頂き、ありがとうございます。デルタ株に感染してから2年以上闘病しています。休職1年半を経て職も失いました。現在も療養を続けており、日常生活や社会生活はできない状況にありますが、倦怠感主訴なのでこれといったお薬もなく、漢方や鍼・整体に頼っています。外出しては翌日休むを繰り返し体調を保っていますが、社会に戻ることができません。 どうぞ研究を進めて頂き、原因を解明して頂きますと幸いに思います。新たな治療法を模索される事もとても期待できます。新薬でなくても既存の薬が効くと証明されれば、後遺症で苦しむ患者のどれだけの光になるでしょうか。どうぞよろしくお願いいたします。
2023.12.14 神奈川県 コロナウイルスの研究が進んで後遺症の治療法が確立されることを期待しています。

応援コメント

2024.03.08 神奈川県
職業柄、後遺症に悩まされている方に会う機会が多く、初めはどう対応して良いのかわからない中、平畑先生の活動を知りそこで得た知識を大変活用させていただいています。その平畑先生も関わるプロジェクトということでぜひ応援させていただきたいと思いました。 後遺症の機序がわかれば治療への期待も大きくなります。世界中の多くの人々に希望をもたらすであろう研究です。応援しています。
2024.02.28 北海道
よろしくお願いします。
2023.12.27 大阪府
夫は2020年コビット19にかかり、気管支切開手前まで悪化し約2ケ月入院となりました。その後2023年にまた軽度のコビット19にかかりました。私も2020年同時期に罹患し、38度程度の熱と味覚異常。2週間程度でなんとか自力で回復しましたが、その後2回ワクチンを接種したにもかかわらず、2023年夫と同時期に発症し、軽度でしたが夫より多少症状が重かった気がします。現在もそうですが、コビット19の後遺症と思われる、突発的な腹痛や便意、味覚の異常などの症状は続いています。多少の不便はあるものの日常生活は営めますが、もっと深刻な症状で苦しんでいる方も多いと聞きます。せめて症状の軽減が叶いますよう、研究の成果に期待しています。

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